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2012年1月

麒麟の翼

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズの2011年新刊を、さっそく映画化。「相棒」シリーズの桜井武晴脚本、「愛していると言ってくれ」などの土井裕泰監督、もちろん主演は阿部ちゃん。手堅い布陣だなあ。劇場で。

日本橋に立つ麒麟像の下で、メーカーの製造本部長・青柳がナイフで刺されて亡くなった。捜査本部の方針では、容疑者はメーカーで派遣切りに遭った若者・八島。しかしお馴染み所轄の刑事・加賀は、青柳がなぜ日本橋にいたのか、なぜ重傷を負っても麒麟像まで歩いていったかという疑問を見逃さず、一歩ずつ真実と人の心に迫っていく。

労災隠し、若者の夢と過ち、さまざまな形の親子の情愛。東野さんらしい、決して派手ではないけれど重層的な物語で、期待通りたっぷり泣かせます。加賀と捜査本部上層部との駆け引きも緊迫。

加賀役の阿部寛、青柳の中井貴一はさすがに安定感があり、加賀とのコンビが微笑ましい松宮の溝端淳平くんも大詰めのアクションなどでなかなか見せる。青柳の息子の松坂桃李は、雰囲気があって楽しみな俳優さんです。ほかに八島の三浦貴大や憎まれ役といえばこの人、鶴見辰吾、憎まれない役といえばこの人、松重豊、そして追憶の山崎努など充実の配役。女優陣では新垣結衣、黒木メイサ、田中麗奈、秋山菜津子まで出てました~ ちなみにエンドロールで、えっ、出てた?って思った向井理はポスターの中だったようです…

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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

メリル・ストリープ主演。とにかくこれに尽きます。監督は「マンマ・ミーア!」でもコンビを組んだフィリダ・ロイド。試写で。

あまりに有名な元英国首相の半生記なんだけど、政界の内幕もさることながら、年老いてしまった現在のサッチャーを、これでもかと描いているのが凄い。特殊メークの見事な老けぶり、奇矯な行動、でもふっと正気になった時のスピーチは素晴らしくて、その落差がよけい哀しい。仕草から微妙な瞳の揺れまで、リアルさに圧倒されます。メリルったら、巧すぎ。怪物ですね。

政治家としてのサッチャーの足跡の部分はテンポ良く描いていて、そのへんの評価もけっこうシビアです。テロとの戦いやフォークランド紛争の決断は英雄的なんだけど、サッチャリズムの影の部分とか、任期終盤の専横ぶりとかにも容赦なく触れています。よく親族がこのシナリオを許したなあ、とさえ思うけれど、そういうシビアさがあるからこそ、根っこのところの、女性差別や階級差別に立ち向かった人間としてのサッチャーの魅力が、真実味を持って浮かび上がってます。拍手。
夫は渋いジム・ブロードベント、娘にオリヴィア・コールマン、ジェフリー・ハウにアンソニー・ヘッド。

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