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2011年12月

ブーリン家の姉妹

ジャスティン・チャドウィック監督。先日、ライブビューイングでオペラ「アンナ・ボレーナ」を観たので、同じアン・ブーリンを描いた歴史劇を観た。録画で。

豪華絢爛な衣装、陰影が濃い映像美はオペラの舞台でイメージした通り。アンを演じるナタリー・ポートマン、妹メアリーのスカーレット・ヨハンソンという若手女優2人の演技対決が見物です。

お話は英国版大奥というか、階級社会を背景に成り上がるため、浮気で身勝手なイングランド王ヘンリー8世の寵愛を姉妹で奪い合っちゃうという、モラルそっちのけの身も蓋もない内容だ。とはいえ運命の変転に伴い、女優2人が表情の変化を演じて見事。前半はアンが、乗馬シーンに象徴される勝ち気と意地の悪さを存分に発揮し、後半は身勝手な姉を許すメアリーが、芯の強さを見せつける。

それにしてもアンって、歴史上の重要人物だったんですねえ。たかが略奪婚のためにイギリスをカトリックと決別させ、さらには後に無敵艦隊を破ることとなるエリザベス1世を産み落とす。勉強不足でした。王様のエリック・バナがなかなか格好良い。

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クヒオ大佐

吉田大八脚本・監督。堺雅人、松雪泰子、満島ひかり。録画で。

1970年代から90年代に実在し、米軍大佐でカメハメハ大王やらエリザベス女王の末裔という奇抜な設定を使った結婚詐欺師を題材にしている。しかし内容はほとんど創作らしく、湾岸戦争当時の日米関係を背景に、情けないクヒオ大佐と日本の姿を重ねている。

とにかくクヒオさんは情けない。狙う女性は銀座のホステスを除くととても地味で、小さいお弁当屋さんを営む女性、それから田舎町で子供に科学を教えている学芸員。ホステスさんには実は英語ができないことを見抜かれちゃってるし。堺さん、なんと付け鼻ですよ。怪し過ぎ。スローテンポで脱力系のコメディなんだけど、見え見えの嘘が哀しいです。

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間宮兄弟

追悼で森田芳光監督・脚本作品を、録画で視聴。江國香織原作。

30過ぎの兄弟のオタクな日常、はかない恋をのんびり淡々と描く。兄はビールメーカーの開発担当、弟は小学校の校務員をしながら、2人仲良く一緒に暮らしている。並んでビデオを観るとか、出張先から寝る前に電話しておしゃべりするとか、普通だったら気持ち悪いんだろうけど、佐々木蔵之介、塚地武雅のコメディセンスが高く、にやにやしたり呆れたりしながら思わず応援しちゃう。女性と仲良くなるのに自宅でカレーパーティーとか浴衣パーティーとか、草食過ぎだろう!

内気なのに妙に色気がある小学校教師の常盤貴子、図々しく不倫の悩みを相談してくる上司の高嶋政宏なんかの造形が、誇張してるけど「いかにもいそうな感じ」で秀逸。2人を振り回す美人姉妹は、沢尻エリカとこれが映画初出演だった北川景子。文句なく可愛いです! 兄弟を誇りに思っている素敵な母はなんと中島みゆき。

不登校の生徒が黒板に残すメッセージ、それからいろいろあって、兄弟2人が自転車で駆け抜ける東京の町並みがファンタジックで印象的。冴えなくて、さしたる進歩がなくても、自分なりのライフスタイルをもって真面目に生きていくささやかな満足。

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最後の初恋

ジョージ・C・ウルフ監督。ニコラス・スパークス原作。リチャード・ギア、ダイアン・レイン。機内で。

ニコラス・スパークス原作の、趣味のいい大人の純愛映画です。季節はずれのひなびた海辺の町で、親友に頼まれ5日間だけプチホテルを切り盛りする中年女性エイドリアンが、たったひとりの無愛想な宿泊客ポールと思ってもみない恋に落ちる。

このコンビはさすがですね~。抑制した色気があって、若作りしているわけじゃないんだけど、どこか清潔感が漂う。それぞれの仕事や家族の葛藤、転機となるハリケーンというシチュエーションなどはややベタながら、美しい海辺の風景、オールディーズなどの道具立てがお洒落でいい感じ。特にラスト、野生馬の群れのシーンは力があって美しい。実際にノースカロライナには難破船で生き残ったスパニッシュ・ムスタングの末裔がいるらしいです。秀作じゃないでしょうか。

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シービスケット

ゲイリー・ロス脚本・監督。大恐慌時代に人気を博した競走馬をめぐる感動のドラマだ。録画で。

けんかっ早い元ボクサーで体が大き過ぎ、おまけに右目が見えない騎手と、富豪だけど息子を亡くして心に傷を負う馬主、そして偏屈な調教師。3人は馬格で劣るも不屈の闘争心を持つ一頭の馬に、勇気づけられていく。「スパイダーマン」のトビー・マグワイア、「トゥルー・グリット」のゲイリー・バーバーとクリス・クーパーという、男優たちの演技合戦が渋い。

セリフが控えめで余白が多く、しかしテンポの良い脚本が秀逸。全編を覆う30年代の雰囲気も洒落ている。緑の芝を駆け抜ける馬たちのスローモーションがスカッとするのはもちろんだが、クライマックスのレースシーンでなぜか、馬主の妻が駐車場の車のボンネットに駆け上がって観戦する、その濃紺の帽子をかぶった姿とか、何気ないシーンがとても美しい。
ピアノとかを効果的に使ったランディ・ニューマンの古風な音楽も好み。正直、びっくりする展開はないんだけれど、気持ちの良い映画です。

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忌野清志郎ナニワ・サリバン・ショー

鈴木剛監督。FMの番組がきっかけで、2001年、04年、06年に大阪城ホールで開いたスペシャルライブの映画化。劇場で。

もう一度あのショーを開こう、という設定で、ライブ映像を参加アーティスト出演のアホっぽいショートストーリーとDJでつないで再構成している。この「つなぎ」部分が徹底して格好つけてなくて、脱力しちゃう。まあ、ライブ映像をもっとたっぷり観たい、と思うけれど、いろんなアーティストが楽しそうにアホを演じる雰囲気とか、通天閣などベタな大阪の風景がいい雰囲気でもある。

ライブ部分も含めて、登場アーティストは豪華だ。布袋寅泰、山崎まさよし、斉藤和義、Chara、中村獅童、矢野顕子、トータス松本、木村充揮、宮藤官九郎、松たか子、清水ミチコ、間寛平…そしてチャボ。
お茶目な「後ろの奴等のために」、山崎まさよしアレンジのアコースティックな「トランジスタ・ラジオ」、キレキレ獅童の「キモちE」、トータス松本のソウルフルな「すべてはALLRIGHT」、矢野顕子さんとの名曲「ひとつだけ」、そしてもちろん「スローバラード」、寛平さん登場で最高潮に盛り上がる「雨あがりの夜空に」。ラストのチャボとの「夜の散歩をしないかね」には泣けました。チャボのコメントにもしみじみ。やっぱり清志郎は偉大だなあ。

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ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル

監督ブラッド・バード、製作トム・クルーズ、JJ・エイブラムス、ブライアン・バーク。当然主演はスター、トム・クルーズ。試写で。

お馴染みのテーマ曲にのって、大作スパイアクション・シリーズ第4作。チーム・イーサン・ハントが孤立無援の状況で、核兵器テロをもくろむトンデモ教授に挑む、というのがストーリーだけど、さあ、何も考えずに無理を承知の超絶アクションを楽しもう!
舞台はなにやらバブリーにモスクワ、ドバイ、ムンバイと展開。ド派手なクレムリン大爆発のあと、圧巻はドバイ、世界一の超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」です。地上800メートルの空中シーンは、やっぱり手に汗握っちゃう。頼りにならない秘密兵器の「ゲッコー・グローブ」が面白い。

イーサン・ハントのトムは、アップになるとさすがに年とったなあ、と思うけど、キレは健在。スパイ物らしい駆け引きはあまりなくて、むしろお父さん的キャラになったハントが、速成チームをまとめていくというシンプルなお話。わかりやすくていいなあ。ラストもほのぼのだし。
チームはエキゾティックな美人ポーラ・ハットン、コミカルな技術スタッフ・サイモン・ペッグに、ちょっと切なくて雰囲気があるジェレミー・レナー。冷戦チックな悪役はスウェーデン出身のミカエル・ニクヴィスト、ロシア捜査官はウラジミール・マシコフ、コミカルなインド人富豪はアニル・カプールと国際的です。

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アンノウン

ジャウム・コレット=セラ監督。ディディエ・ヴァン・コーヴラール原作。リーアム・ニーソン、ジャニュアリー・ジョーンズ、ダイアン・クルーガー。機内で。

いや~、緊迫感ある秀作サスペンスでした。ニーソン演じる植物学者のハリス博士は学会に出席するため、妻とベルリンにやってくる。ひとり交通事故に巻き込まれて病院で目覚めた時には、自分の存在というものがかき消されていた。旅先でアイデンティテイーを失う底なしの不安、迫りくる陰謀。さあ、どうするニーソン。

寒々とした冬のベルリンの雰囲気がいい。全編グレーですね。博士に手を貸すボスニア移民の女性タクシー運転手(ダイアン・クルーガー)、東ドイツ秘密警察という過去を持つ男(ブルーノ・ガンツ)ら、人物の背景が複雑。驚きの謎解き、カーチェイスのスピード感も楽しめる。

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カーズ

ジョン・ラセター、ジョー・ランフト監督・脚本。ピクサー・アニメーション・スタジオ製作。機内で。

いかにもディズニーですなあ。自信過剰なレーシングカーのマックィーンが、偶然足止めをくらった田舎町で「仲間」「友情」に目覚めるという展開はお約束過ぎるほどで超安心感。全編、擬人化された車しか出てこない設定は、最後までよく意味が分からなかったけど。
西部の美しい渓谷とか、車へのなみなみならぬ愛着なんかは、これぞアメリカ気質というべきか。親子でどうぞ。

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