ステキな金縛り
三谷幸喜監督・脚本。深津絵里、西田敏行。劇場で。
50歳到達を機に、精力的に舞台やドラマをこなしている三谷さんの新作映画を観た。ドジな女性弁護士が、殺人事件の被告が主張する「事件のあった夜、ずっと金縛りにあっていた」というアリバイを立証すべく、なんと金縛りにあわせた落ち武者の幽霊を証人として引っ張り出す、という法廷コメディです。
奇想天外な設定の面白さは文句なし。落ち武者の姿が見える人と見えない人がいて、その意味は、という理屈づけがなかなか泣かせる。人生はたいてい思い通りにならない。でも、自分を信じていくしかない。ん~、正調・三谷節。
法廷での無罪立証と、落ち武者の名誉回復の理屈がからんでくると、勝手に期待しちゃったんで、そのあたりは肩すかしだったかな。2時間半近くの長丁場、もう一工夫ストーリーを作り込んでほしかった、というのは贅沢かしらん。
三谷作品ならではの豪華キャストは、存分に楽しめます。なんといっても主演の深津絵里の、40近いとは思えない天性のキュートさ、はつらつとしたリズム感が魅力的。落ち武者の西田敏行(安定感)、カタブツ検事の中井貴一(犬と競演)、つまみ食いばっかりしているボス弁の阿部寛(タップダンスを披露)が、いずれもおかしみと切なさを漂わせて秀逸。揃いも揃ってセンスがいいですねえ。
ほかにも浅野忠信、竹内結子、ちょい役で佐藤浩市から唐沢寿明、エンドロールの大泉洋まで! もちろん常連組も総出演。市村正親だけはあまりにドタバタで、どうもよく意図がわからなかったけど(しかも夫婦で出ていた)。はは。
往年の名画へのオマージュとか、仕掛けも満載です。録画でもう一度観たら、いろいろ小ネタが見つかりそう。余談ですが、公開にあわせた三谷さんの恒例・露出祭は、PRとはいえ献身的過ぎて、ちょっと痛々しい気がしちゃいました… 年内にあと舞台が1本。来年はどうか、ゆっくりしてくださいね。
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