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2011年11月

南極料理人

沖田修一監督、堺雅人、生瀬勝久、きたろう、高良健吾、豊原功補。録画で。

大作ドラマ「南極物語」にやっぱり堺さんが出ていて、この映画のことが一部でよく引き合いに出されるので、録画してあったのを観てみた。正直あんまり期待してなかったんだけど、めっちゃ秀作でした!

実際に観測隊に派遣された海上保安官のエッセイが原作。ペンギンさえいない極寒の基地で、男ばかりたった8人が共に1年強を過ごす。その想像を絶する苛酷な生活を、涙も感動も一切なく、徹底してコミカルに、飄々と描いてます。
いや~、笑った。特に高良くんの切ない恋。もちろん全くシチュエーションは違うんだけど、ぎりぎり追いつめられたとき、自らを笑うことによって人としての尊厳を保つ、という雰囲気は名作「ライフ・イズ・ビューティフル」を思い出しました。

絶妙の間で笑いをとりつつ、それぞれの知性と真面目な人柄をにじませる俳優陣が、みな巧い。だんだん髪が伸びて、むさ苦しくなるあたりの作り込みもいいし。まあ、雪氷学者とか大気学者って何なのか、実は最後までよくわからなかったんだけど、それはそれとして。
エンドロールの映像、バックに流れるユニコーンの「サラウンド」がよく合っていて、泣かせる~ 観てよかったです。

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トランスポーター2

リュック・ベッソン製作・脚本、ルイ・レテリエ監督、アクション監督はコーリー・ユン。ジェイソン・ステイサム。機内で。

面白かった「トランスポーター」の続編で、おなじみ無口で完ぺき主義の運び屋フランク・マーティンが大活躍。問答無用に痛快です! ぜえったいあり得ないドライビングテクニックは健在。今回の不死身車はアウディね。

誘拐とか殺人ウイルスとか、仕掛けは荒っぽいし、無駄に露出度の高い悪役とかの行動も滅茶苦茶です。でも、車道でほとんどひかれかけても冷静沈着なフランクが格好良いから許す。
第1作に比べると、乾いたしゃれっ気が今ひとつなのが残念。とはいえフランクがカタギになろうとフランスからマイアミに移り住んでて、だけどアメリカ飯はまず過ぎってあたり、ニヤリとさせてくれます。

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ステキな金縛り

三谷幸喜監督・脚本。深津絵里、西田敏行。劇場で。

50歳到達を機に、精力的に舞台やドラマをこなしている三谷さんの新作映画を観た。ドジな女性弁護士が、殺人事件の被告が主張する「事件のあった夜、ずっと金縛りにあっていた」というアリバイを立証すべく、なんと金縛りにあわせた落ち武者の幽霊を証人として引っ張り出す、という法廷コメディです。

奇想天外な設定の面白さは文句なし。落ち武者の姿が見える人と見えない人がいて、その意味は、という理屈づけがなかなか泣かせる。人生はたいてい思い通りにならない。でも、自分を信じていくしかない。ん~、正調・三谷節。
法廷での無罪立証と、落ち武者の名誉回復の理屈がからんでくると、勝手に期待しちゃったんで、そのあたりは肩すかしだったかな。2時間半近くの長丁場、もう一工夫ストーリーを作り込んでほしかった、というのは贅沢かしらん。

三谷作品ならではの豪華キャストは、存分に楽しめます。なんといっても主演の深津絵里の、40近いとは思えない天性のキュートさ、はつらつとしたリズム感が魅力的。落ち武者の西田敏行(安定感)、カタブツ検事の中井貴一(犬と競演)、つまみ食いばっかりしているボス弁の阿部寛(タップダンスを披露)が、いずれもおかしみと切なさを漂わせて秀逸。揃いも揃ってセンスがいいですねえ。
ほかにも浅野忠信、竹内結子、ちょい役で佐藤浩市から唐沢寿明、エンドロールの大泉洋まで! もちろん常連組も総出演。市村正親だけはあまりにドタバタで、どうもよく意図がわからなかったけど(しかも夫婦で出ていた)。はは。

往年の名画へのオマージュとか、仕掛けも満載です。録画でもう一度観たら、いろいろ小ネタが見つかりそう。余談ですが、公開にあわせた三谷さんの恒例・露出祭は、PRとはいえ献身的過ぎて、ちょっと痛々しい気がしちゃいました… 年内にあと舞台が1本。来年はどうか、ゆっくりしてくださいね。

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インセプション

クリストファー・ノーラン監督・脚本。レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット。録画で。

人の夢(潜在意識)にもぐり込んで情報を盗み取る、産業スパイを描いたSF。ディカプリオ率いるスパイチームが、ライバル企業を陥れるべく御曹司にあるアイデアを植え付ける、という難しい依頼をあえて引き受け、冒険を繰り広げる。

街の景色が紙みたいにめくれ上がる、ものすごいCGが公開当時に話題で、そのあたりは確かに圧巻です。あと、狭いホテルの廊下での無重力状態のアクションとか。派手なドンパチが続くんだけど、意外に印象が淡々としていて暗いのも格好良い。

ただし、潜在意識が何層にもなっていて、夢の主がスパイに攻撃を仕掛けてきたり、夢から抜け出るのにきっかけが必要だったりと、理屈がかなり難しい。そこにディカプリオの過去、妻との葛藤がからんできて、現実なのか夢なのか、途中からは正直、何が何だか。実は哲学的なお話なのよね。ラストの解釈にもいろいろ議論があったようです。理解するには、いつか再見しなきゃいけないかな~ ふう。

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のだめカンタービレ最終楽章

人気コミックのテレビドラマを、なんと前編、後編にわたって映画化。前編ではドラマ版の演出家、武内英樹が映画デビュー。後編の監督は川村泰祐。出演はドラマに続いて上野樹里、玉木宏、山田優、竹中直人ら。録画で。

ヨーロッパ各地のロケによる風景が豪華だけど、全体のトーンはまあ、ドラマの延長線です。テンポの良さ、全編を流れるクラシックの名曲の心地よさは抜群。

上野樹里のはちゃめちゃなヒロインが、ドラマに続いてはまり役で、時代劇なんかより断然いい。玉木宏も色気アリ。ただし青春群像としては、年齢的にそろそろ限界で、最終楽章という位置づけに納得です。

大詰め、のだめのデビューは強引過ぎて、正直ちょっと興ざめ。それでも単純な成功劇や恋愛ドラマではなく、芸術家として厳しく終わりのない道に、覚悟をもって踏み出していく、というテーマは秀逸だ。原作がしっかりしているんでしょうね。

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