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2011年2月

ソーシャル・ネットワーク

デヴィッド・フィンチャー監督、アーロン・ソーキン脚本。ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク。劇場で。たまたま観たばかりの「トゥルー・グリット」と同じスコット・ルーディン製作だけど、こっちは余白無し、徹底的に早口です。

フェイスブックの創業ヒストリーを描いた話題作。とにかくシニカルなんで、びっくりしちゃった。ザッカーバーグは徹底的に冴えないオタク。彼が抱える2つの訴訟が物語のメインなんだけど、相手はフェイスブックの原案を盗まれたと主張するハーバードの双子のボート部員と、もともと親友だけど意見の違いで喧嘩別れした元CFO。いずれも敵の方が家柄も性格も良くて、オリンピック選手だったりもして、だんぜん格好良い。
ザッカーバーグはフェイスブックで大成功し、世界中の100万人を結びつけるんだけど、自らはたったひとりのガールフレンドもつなぎ止められないのです。皮肉だなあ。

ITベンチャーの経営のスピード感も凄まじい。たった数ヶ月のうちにアイデアをかたちにし、できる若い奴をスカウトしてがんがん開発し、巨額の投資をかき集める。こんな暴露的な映画が公開されちゃうのも、あっという間だし。それからザッカーバーグをたきつける、ナップスターのショーン・パーカーの怪しいカリスマぶりが真に迫ってた。こういう人っているよね~

1987年の「ウォール街」みたいに、時代の空気を映した1本だと思う。面白かったです。

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トゥルー・グリット

ジョエル&イーサン・コーエン脚色・監督。スコット・ルーディン製作。ヘイリー・スタインフェルド。試写で。
スピルバーグも製作総指揮の一人に加わった西部劇。ジョン・ウエイン主演の1969年「勇気ある追跡」のリメイクです。

いや~、理屈抜きに面白かった。お話は開拓時代、14歳の少女が凄腕保安官を雇って、父を殺した無法者を追跡するという、ただそれだけ。この少女マイティ・ロスを演じる新星ヘイリー・スタインフェルドが、実に格好良い。保安官に置いてけぼりを食うまいと、決然と馬で河を泳ぎ渡るシーンでもう、ノックダウンです。先が楽しみな子だわ。
どっちが悪党だかわかんない、飲んだくれ保安官コバーンのジェフ・ブリッジスが、なんともいい味。行動を共にする賞金狙いのラビーフ役、マット・デイモンもさすがの色気です。敵役チェイニーのジョショ・ブローリンは、徹底的に情けなく、親分ネッドのバリー・ペッパーも凄みはあるけど、なんか憎めない。役者は揃った!て感じ。

もう一人の役者は追跡の舞台となる、厳しく殺伐とした西部の荒野でしょう。観ていて冷たい空気が頬にあたるよう。生き抜くために必要なのは馬と銃で、それ以上、格好つけてる余裕なんてありません。
そんなきっぱりと美しい風景のなかを、無法者を追ってただ進んでいく。無茶で乱暴で、なんだか可愛いらしい3人組。目的を達したとしても、栄光も賞賛もないんだよね。そのシンプルさ、ゆったりと余白の多いテンポが心地よいです。

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マイライフ、マイファミリー

タマラ・ジェンキンス監督・脚本。ローラ・リニー、フィリップ・シーモア・ホフマン、ピーター・フリードマン。日本では劇場未公開の一本を、WOWOWの録画で。原題は「サヴェージ家の人々」。

それぞれ独身で、もう中年の兄と妹が、長く疎遠だった父親を突然、引き取ることになる。といっても認知症の父と暮らせるわけもなく、老人ホームに預けることに。なんとも地味な内容なんだけど、ユーモアが漂う佳作。

好き勝手に暮らしてきた父と、閉塞感漂う介護の現実。大学で演劇論を教えるいい大人なのに、結婚から逃げている兄や、劇作家を目指しつつ、不安定な派遣の仕事に疲れている妹の境遇も、情けなくて真実味がある。
冒頭、父が暮らす高齢者タウン、アリゾナ州サンシティの鮮やかな現実感の無さと、老人ホームがある雪舞うバッファローとの対比が胸に染みる。

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