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2009年3月

ウォッチメン

ザック・スナイダー監督。ジャッキー・アール・ヘイリー。試写で。

著名なアメリカンコミックを原作とした、壮大なSFアクションミステリー。コミックの覆面ヒーローが実在し、そして引退した後、という設定の「もう一つの80年代アメリカ」の行方。

大作。なにしろプロデューサーの一人はローレンス・ゴードンだし。
とにかくCGが懲りまくりで、大きなスクリーンに意表をつく映像が盛りだくさん。しかも長い。3時間近い。イメージの洪水で、くらくらしちゃいました。

というわけで正直いうと映像に気をとられ、一度観ただけでは複雑なストーリーをとらえ切れない感じ。歴史的事件の読み替えを散りばめ、大国の苦悩とか、「正義の暴走」を描いている。基本的に冷戦を前提にしているので、その枠組みの理解にちょっと時間がかかる。かと思えば、極めてホームドラマ的なヒーロー母娘の愛憎が重要なエピソードになっていたり。振幅大き過ぎ。

全体にダークで重くて乾いた色調。そんななか登場人物の一人で、この上なく凶暴なロールシャッハが妙にコミカルでチャーミングなのがよかった。

『ウォッチメン』 セガール気分で逢いましょう。

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恋に落ちたシェイクスピア

ジョン・マッデン監督。グウィネス・パルトロウ、ジョセフ・ファインズ。機内で。

若きシェイクスピアと、男装して劇団にもぐり込んだ資産家の娘との、華麗な恋。

とっても楽しめました。あまりに有名な「ロミオとジュリエット」の稽古風景を使って、聞き覚えのあるセリフを恋物語に重ねる手法が精妙。そんな脚本を生かした、流れるようなシーンのつながり方が心地いい。そして「十二夜」につながるあたりもお洒落ですねえ。拍手。

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トゥルー・ロマンス

トニー・スコット監督、クエンティン・タランティーノ脚本。クリスチャン・スレーター。録画で。

マフィアに追われるカップルの、暴力に満ちた逃避行。

これを好きだというと、友人に評判が悪いんですよ。まあ、確かにはちゃめちゃだけど。個人的には暴力が微妙に不快にならず、ラストでは何だか爆笑につながる、珍しい一本だと思ってるんですが。

ブラッド・ピットやクリストファー・ウォーケン、サミュエル・L・ジャクソンなんかも出ていて、豪華。

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シビル・アクション

スティーブン・ザイリアン監督。ジョン・トラボルタ。録画で。

功利的な弁護士が、ある環境汚染をめぐる訴訟にのめり込んでいく。

実話を元にした法廷もの。非常に印象的だったのは、「間」が多いってことです。シーンが切り替わる一瞬の静けさとか。絶妙に引き込まれるんだなぁ。それから、何気なくシーンの背景で鳴る、自然な効果音もリアル。秀作ではないでしょうか。

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アンダーワールド ビギンズ

クリーチャー・デザインのパトリック・タトポロス監督。ローナ・ミトラ、マイケル・シーン、ビル・ナイ。試写で。

ヴァンパイアと狼男という、古典的な西洋伝奇2大キャラクターの対立を描くアクション・ファンタジーシリーズの第3作。今作では因縁の対立の発端を描いてるんだけど、実は1、2作を観ていないので、思い入れは皆無。なんか、甲斐のない観客です。
前2作の内容を心得ていなくても、古城を舞台にした中世風のシンプルな抗争劇として観て、あまり違和感はなかったな。そもそも2大キャラクターは存在自体が、宿命めいているからかも。

疾走する月の映像とか、もの凄く怖い狼男の唸り声とかが、面白い。悲恋に生きるヒロイン、女戦士ソーニャのローナ・ミトラが格好良くて、目に雰囲気がありますね。イギリス育ちだけど、インド人とのクオーターだとか。なるほど。これから楽しみかも。それに比べると、ライカン(狼男族)の始祖になるマイケル・シーンは、ちょっと暑苦しいかな。

アクションは残酷だけど、スピード感がすごい。ところどころ目が追いついていけないほど。ヴァンパイアが一方の主役だけに、全編薄暗く、青っぽい色彩で統一されているのが個性的。私としては、どこかに色のポイントがあった方が、好きだけど。

アンダーワールド:ビギンズ LOVE Cinemas chofu

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ザ・エージョント

キャメロン・クロウ監督、脚本。トム・クルーズ。録画で。

巨大ビジネスの世界でもがくスポーツ・エージェントの、選手との友情、恋。

なんとなく業界内幕ものだと思って観たので、暖かい気持ちになって、意外でした。結構ストレートな感動作。レニー・ゼルウィガーも健気で可愛かったし。
このころのトム・クルーズ、「ミッション・インポッシブル」も撮ってたけど、大作だけじゃなく秀作を選んでいるっていう、印象があったよね。
 

 ザ・エージェント Jerry Maguire 映画!That’s Entertainment

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シカゴ

ロブ・マーシャル監督。レニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギア。劇場で。

ボブ・フォッシーの傑作ミュージカルの映画化。冒頭の「オール・ザット・ジャズ」で、もうノックダウンです。格好いい! 網タイツ万歳。
70年代に、ここまで楽しく、ここまで冷徹にスキャンダリズムを皮肉った舞台を作ったフォッシーに、まず乾杯。そしてフォッシーと、エンタテインメントをこよなく愛することを隠さない、この映画のスタッフに拍手。

ミュージカル映画が好きで、観ると必ず感じるんだけど、ハリウッドスターの芸人魂は見上げたもんだよね。「ムーラン・ルージュ」とか「ヘア・スプレー」とか、最近だと「マンマ・ミーア!」とか。
本作では、リチャード・ギアが下着姿で踊りだしたときには、さすがにちょっとのけぞったけど、それも含めて、「やる時はやる」姿がさすが。特に
レニー・ゼルウィガー。

シカゴ(映画) なんでも屋のアホ日誌

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シックス・センス

ナイト・シャマラン監督・脚本。ブルース・ウィルス、ハーレイ・ジョエル・オスメント。録画で。

死者が見えるという第六感を持つ少年と、自身も心に傷を抱える小児精神科医との、魂の交流。
ホラーなのに感動作。何といっても衝撃の結末が圧倒的だ! 個人的にラストで驚いた映画のトップかも。しかも、2度観ても驚きがあせないんですよ。不思議だなあ。細かい伏線、ブルース・ウイルスの静かな演技、それから丁寧な効果音がいい。

残された者は誰しも、旅だった人にはきっと、思い残すことがあったに違いない、と考える。そんな切なさが胸に迫ります。

シックス・センス(1999年) THE SIXTH SENSE 107分 極私的映画論+α

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ダイ・ハード

ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルヴァー製作、ジョン・マクティアナン監督。ブルース・ウィルス、アラン・リックマン。劇場で。

やっぱり言いたい。傑作! クリスマスにたまたま訪れたロスの高層ビルで、テロに巻き込まれた不運な刑事の超人的活躍。

派手なアクションシーンを支える、コミカルでお洒落な脚本が秀逸なんだなぁ。憎たらしいテロリストとの、駆け引き満載の頭脳戦も手に汗握る。冒頭のジョン・マクレーンの高所恐怖症から、ちょっと関係がぎくしゃくしている妻が勤め先から贈られた高級時計まで、あらゆるエピソードが引用に耐えるよね。カメラワークも格好良いし。

それにしても、80年代の調子に乗ってる日本企業って舞台設定が、なんか懐かしー。 

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バック・トゥ・ザ・フューチャー

ロバート・ゼメキス監督。マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド。劇場で。

傑作。高校生マーティと、不思議科学者ドクのコンビによる、時間を超えた大冒険。

初めて観たとき、もう立派な大人だったけれど、ニコニコしながら映画館を後にした覚えがある。
凄いところはいっぱいあるが、例えば冒頭、時計で一杯のドクの部屋からもう始まっている、緻密な伏線。全編を流れる正面切って「青春」な空気感。マイケル演じるギター好きなマーティの、永遠の悪ガキぶり。年齢なんか関係ない!
 テーマ曲「パワー・オブ・ラブ」の、イントロからわくわくさせる感じはロッキーシリーズと双璧かも。

まあ、ひと言で言うと、エンタテインメント万歳。大阪のユニバーサル・スタジオのアトラクションも楽しかったですよ、はは。

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カッコーの巣の上で

「アマデウス」のミロシュ・フォアマン監督。ジャック・ニコルソン。録画、DVDで。

傑作。刑務所行きを逃れるため精神病院に入った男の、自由への反抗を描く。最初はテープ時代にレンタルで観て、見終わってすぐ巻き戻してもう1回観ちゃいましたよ。

社会の中で、個人はみな、がちがちに管理されている。それは実は、自ら望んで管理されているのではないか? そう思い当たって、ニコルソンのマクマーフィーが愕然とする展開が鮮烈。

映らないテレビに向かって皆が熱狂するシーンは、何度見ても切なくて涙が出る。逃れられない状況になって初めて覚える、人間らしさへの渇望。ルイーズ・フレッチャー演じる師長の徹底した冷たさとか、患者たちが船に乗って覚える解放感とか、映画的感興も秀逸。

アメリカン・ニューシネマの代表作だそうです。「或る夜の出来事」以来のアカデミー5部門受賞。 

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ショーシャンクの空に

フランク・ダラボン監督・脚本。ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン。録画で。

いわずとしれた映画市場に燦然と輝く無冠の傑作。スティーブン・キングの中編を原作とする、脱獄もので、冤罪で投獄された銀行マンの、プライドと希望の物語。

誉めだしたらきりがないんだけれど、まず聖人君子ではない人物造形が見事。月並みながら、アンディがすさんだ刑務所に、モーツアルト「フィガロの結婚」から「手紙の二重唱」を流すシーンは鳥肌ものでした。あえて爽やかなラストシーンにした点も、いい。これぞ映画、といいたいです。

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「マトリックスリローデッド」

監督ウォシャウスキー兄弟。キアヌ・リーズス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー・アン=モス。DVDで。

マトリックス3部作の2作目。

前作に比べ、映像の豪華さがアップ。「100人スミス」やカーチェイスのイメージの膨らみはさすがです。素手で車の屋根をベリッとはがすところは、笑いました。

ストーリーは、実はよくわかりませんでしたが。なんだか哲学的なんだもん。

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「マトリックス・レボリューションズ」

監督ウォシャウスキー兄弟。キアヌ・リーズス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー・アン=モス。劇場で。

いわずとしれたマトリックス3部作の完結編。小さい部屋であまりにスクリーンに近かったので、最初なんだか不安でしたが、始まったら夢中。いやー、迫力です。

途中、ガンダムかっ(ふるっ)と突っ込みながらも、映像としてはもう満腹。ミフネとナイオビのシーンには思い切り力が入った。そして何と言っても、「飛ぶスミス」。期待通り笑っちゃった。いいぞ、ヒューゴ・ウィーヴィング!

問題は、で、お話はどう なったの?ってところでしょうか…

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「ラストサムライ」

「マーシャル・ロー」のエドワード・ズウィック監督。トム・クルーズ、渡辺謙。先行ロードショーで。

明治政府の軍事顧問として来日したアメリカ人が、不平士族の武士道に触れ、共感していく。

なかなか良かったです。ハリウッドで300億円かければ、こんな品の良いチャンバラができるって思っちゃった。
前評判通り、トム・クルー ズより格好いい渡辺謙。りりしい小山田真。映像や音楽も美しく、黒澤の影響なのかな。

名誉の死とか滅びの美とかというテーマは、正直言って苦手。その点、古い日本を美化しすぎで、こぞばゆい感じもなくはない。でも、軍事産業が太るだけの戦いとか、他国の文化をないがしろにする姿勢への静かな反発は共感できると感じましたね。

個人的な不満ポイントは、真田広之さんの見せ場がもっとほしかったのと、最後に福本清三さんの役名を呼んでほしかったこと。

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「砂の器」

野村芳太郎監督、丹波哲郎、加藤剛。DVDで。

傑作。松本清張の社会派推理を原作に、黒沢組の橋本忍と山田洋次が脚本を手がけた日本映画の金字塔。

特にあまりに有名な放浪のシーンで、親子が極限状態なのに、笑ってじゃれあうところが感動的。その後のドラマが切なく胸に迫り、泣きました。

難しいテーマだからこそ、差別と偏見に対して、深い怒りが全編にみなぎっていることがわかる。ピアノ協奏曲「宿命」と、映像の組み合わせが素晴らしい。

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スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

三池崇史監督。伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介。録画で。

源氏と平家の末裔というギャングが、埋蔵金をめぐって激突する寒村に、ふらりとやってきた天才ガンマン。

気になっていた不思議ウエスタンを観る。この監督は実は馴染みがないけど、任侠と時代劇とウエスタンの強引な混合、全編つたない英語にちょっとだけ混じる変な日本語、そして、これでもかという暴力表現。想像以上のB級ぶりで、タランティーノ好きの私としても、ちょっとげんなり。

とはいえ、すさんだ殺戮の村に咲く薔薇の花とか、色彩の表現は鮮やか。このへんは、さすがじゃないでしょうか。
豪華キャストが一人残らず、キレまくっているというか、正気じゃないというのも、凄い。特にコミカルな香川照之が怪演だ。主役のはずなのに一番おとなしい伊藤英明の、わざとらしいスカシ方も悪くない。堺雅人はずいぶん脇役だけどね。

不満なのは、ばかばかしくも思わず拍手しちゃうようなシーンが、少なかったことかなぁ。その点では、桃井かおりが存在感あり。

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