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2008年12月

「雲の向こう、約束の場所」

新海誠監督の初長編アニメ。声の出演は吉岡秀隆、萩原聖人、南里侑香。劇場で鑑賞。

南北に分断された架空の日本で、二人の少年と一人の少女がたどる数奇な運命。

前半の、中学生の淡い恋の部分は、光が丁寧に描かれて目が離せない。海峡を隔てて、手が届きそうな距離にある異国。そこに空高くそびえる、白く細い「塔」への、憧れのイメージが切なくて鮮やかだ。

後半、塔の秘密が明らかになってからは、少し話が難しくなって、ついて行きづらかったのが残念。SFに慣れてないからかな。少女を救うために飛び立とうとする気持ちの高まりとか、翼がゆっくり回る飛行機の飛翔感は、宮崎駿に通じるかも。

もうひとつ気になったのが、眠り続ける、というモチーフですね。小説「アフターダーク」にもあったけど。見知らぬ「向こう側」に行きかかっている、というイメージなのだろうか。

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「Ray/レイ」

テイラー・ハックフォード監督。ジェイミー・フォックス。試写で。

グラミー賞を12回受賞した天才、レイ・チャールズの伝記映画。「コラテラル」のジェイミー・フォックスが、見事になりきってアカデミー主演男優賞を受けた。

おなじソウルミュージシャンを扱った映画でも、ドキュメンタリー「ソウルサバイバー」のような、荒削りな迫力や裏話には乏しい。けれど、全編をおおう曲の力はさすがだ。
人種のハンディ、弟の死、失明、そして麻薬中毒。これでもか、という苦難の道のりを歩みつつ、才能にあふれ色気もある人物像が魅力的。繰り返される「盲目だけどばかじゃない」という母の言葉の重みが、胸に迫る。

ベスト盤のライナーノーツを読むと、その出生や母との関係は、映画よりもっと複雑なんだよねー。長い差別を乗り越え、州歌となった「Georgia On My Mind」を歌うラストは涙なくしてはみられません!

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「ハウルの動く城」

宮崎駿監督。倍賞千恵子、木村拓哉。劇場で鑑賞。

ダイアナ・ウイン・ジョーンズのファンタジーを原作にした少女と魔法使いの冒険。

笑いの要素と、ワルツの音楽が散りばめられている。宮崎作品ではお馴染みの、芯の強い少女像は健在。冒頭近く、空を歩いているときに、一発で恋に落ち るシーンがまず素敵だ。美しい自然を見た後、「生活」があるちっぽけな下町の帽子屋に帰ってくるところもなかなか良い。

声優の木村拓哉も悪くなかった。ただ、城を壊すあ たりから、意味がよくわからなくなっちゃったけど…。予想したほど反戦のイメージが強くなくて、恋のファンタジーだったな、と感じました。

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「ボーン・スプレマシー」

監督はノンフィクションも手がけるポール・グリーングラス監督マット・デイモン主演。試写で。

シリーズ前作同様、過去の事件と陰謀のストーリーは複雑で、なかなか飲み込めない。だが、手持ちカメラを多用した感じの不安定な映像と、灼熱のインド・ゴアからベルリン、粉雪舞うモスクワへというスピード感には、のせられちゃう。

ボーン役のデイモン、殺し屋キリルのカール・アーバンが共に短髪なのが格好いいなあ。特にボーンのサッカー選手のような動体視力の良さ。ただし結末は、少しロマンチック過ぎるかも。

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邦画ベストテン

男の魂に火をつけろ! さんの邦画オールタイムベストテンに参加してみます。
思いつくままに…

・砂の器(1974、野村芳太郎)
・蒲田行進曲(1982、深作欣二)
・風の谷のナウシカ(1984、宮崎駿)
・櫻の園(1990、中原俊)
・大誘拐(1991、岡本喜八)
・月はどっちに出ている(1993、崔洋一)
・マルタイの女(1997、伊丹十三)
・笑の大学(2004、星譲)
・蝉しぐれ(2005、黒土三男)
・容疑者Xの変身(2008、西谷弘)

盛り上がりを重視。もっと観なくっちゃね。

結果はこちら → 邦画オールタイムベストテン・結果発表

 

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「ブリジット・ジョーンズの日記」

シャロン・マグアイア監督。レニー・ゼルウィガー。録画で。

独身女性の日常を描いたベストセラーの映画化。

とにかく爆笑。ちゃんと体を張って演技するレニー・ゼルウィガーが見事! 原作が有名だし、コメディだし、そんなにリキを入れなくても一定の成功を予測できただろうに、なんて思っちゃうくらい。
日本で言えば、「男女7人」の大竹しのぶみたいなものでしょうか… 例える必要もないけど。古いし。

ジェフリー・アーチャーまで出てる。

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「HERO(英雄)」

チャン・イーモウ監督。ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー。録画で鑑賞。

秦王(のちの始皇帝)暗殺をテーマにした、「羅生門」的な武侠映画。

とにかく映像が圧巻です。評判通り、場面ごとの色使いが鮮烈。美しい画面のなかを、豪華キャストがワイヤーを使って華麗に踊りまくる。そう、この動きはアクションではなく、舞踏でしょ。口をあんぐりして観てしまう。

雄大な砂丘や静謐な湖という舞台装置、そして砂や落ち葉や水の動き。碁とか書とかの文化的な深み。繰り返し出てくる、膨大な兵士と矢だけでも、のけぞってしまう。この想像の世界のような美意識を、現実の映像として撮ってしまう執念が、すごい。恐るべし中国。

音楽も渋いな。「十歩」という 数へのこだわりとか、旗の色の小道具とかが、ファンタジー性を添えてます。衣装はワダ・エミ。

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「スパイダーマン」

サム・ライミ監督。トビー・マグワイヤ。DVDで。

アメコミ映画化の人気シリーズ第一弾。

トビー・マグワイヤのキャスティングが絶妙。格好いいんだか悪いんだか、よくわからないところがいい。苦悩するヒーロー像というか。
ビル壁をはい回り、摩天楼を飛び回る映像が圧巻。それから、最初のコスチュームが手作り、というエピソードに共感したな。

「グリーン・ゴブリン」のウィレム・デフォーが、さすがの存在感でした。

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「壬生義士伝」

滝田洋二郎監督。中井貴一、佐藤浩市、夏川結衣。録画で。

浅田次郎原作の新撰組隊士の生涯。

とにかく中井貴一。情けないようでいて、実はタフな半笑いが名演。簡単にいい悪いで片づかない人物像を、こんな風に表現できるって、うまいよなあ。鳥羽伏見の噴煙も非常に劇的だ。

それだけに、後の30分をちょっと長く感じちゃった。幕末から満州へ、親子2代で、なんだかいいことのなさそうな人生がもの悲しい。時代劇特有なのかもしれないけれど、照明を抑えた暗めの画面に、「生きる紐帯」を象徴するかのような白い握り飯が鮮やかで印象に残った。

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